〈ゆんすんの散歩道2〉コスモス学級

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〈ゆんすんの散歩道2〉コスモス学級

2021年06月05日

ウリハッキョの校長との面談を通して、私が次男のダブルスクール先に選んだ支援学級の決め手は、そこに息子と同じダウン症の子どもが複数いたことと、「ウリハッキョのような雰囲気」があったためだった。

私が暮らす地域には15の知的障害支援学級がある。自宅から比較的近い2キロ圏内に的を絞り、5つの公立小学校内に設けられた支援学級を見学した。教室の位置、在籍児童の学習レベル、教材、教員、授業の進め方はどこもさまざまだった。

「コスモス学級」と名づけられた支援学級の説明会で、ある保護者が「入学前に子どもに必ず身につけさせなくてはならないことはありますか?」と質問したのに対して、主任がこう話した。

「どんなお子さんでもかまいません。排泄面での失敗があっても、こちらで指導するので大丈夫です。コスモス学級では、教師全員が子どもたちの担任となり、自分の受け持ち以外のお子さんについても、学習面や生活面での情報を共有しています。在籍するすべてのお子さんと、教職員、保護者の皆さんは、コスモスファミリーです」

不覚にもこの一言にグッときてしまった。後にこの主任は、文科省の表彰を受け他校に異動するのだが、実に教育熱心で、異動後も次男宛に手書きの年賀状を送り、そこには私に向けた「いつでも相談してください」という一言が添えてあった。

1クラス8人が上限という少人数構成。「国語」と「算数」は学習レベル別にクラスが再編成され、異年齢の子どもたちが混じり合って授業を受ける。教材は一人ひとりの学びに合わせ、ひらがなだけのもの、カタカナ混じりのもの、漢字もあるものと工夫されている。それは判で押した「既製品」ではない、「オートクチュール」な教材だった。

次男が通う日本学校の公開授業には、毎年ウリハッキョの担任が足を運んでくれる。また、ウリハッキョの学芸会には日本学校の担任が顔を出してくれる。その時、どちらの教員も、はじめて目にした「風景」に目を輝かせるのが印象的だ。

朝鮮人であることも、障害児であることも、否定や排除の理由になってはならない。

(金潤順、文芸同同盟員)

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