在日本朝鮮文学芸術家同盟

“どこまで自由であり得るのか”/李晶玉個展「記号の国」

《朝鮮新報》2021.05.20

「Mt.Paektu」など新作4点を披露

同胞美術家の李晶玉さんの個展「記号の国」がギャラリーQ(東京都中央区銀座)で開かれている。17日の初日には文芸同中央の尹忠新委員長、同胞、美術関係者たちが会場を訪れ、李晶玉さんの新作4点を含む作品群を鑑賞した。李晶玉さんは作品の解説をしながら来場者たちをもてなした。個展は22日まで。

李晶玉さんと新作「Mt.Paektu」(120×190㌢、2021)

李晶玉さんの作品は1948年創刊の美術専門誌「美術手帖」2019年12月号の表紙を飾ったこともある。これまでにグループ展を多数開催してきたほか、個展としては「『神話#1』eitoeiko」(東京、2018年)に続く2回目となった。

作品についての解説も行った。

今回の個展は、強い象徴性を持ったモチーフを使った作品で構成された。作品を通して、人はどのように、どこまで自由であり得るのか、また在日朝鮮人3世、もしくは女性、もしくは世代に回収されない思考や認知は可能であるかという問いに、その枠組みを構成している不自由と人間を擦り合わせて摩擦を起こしてみることに挑戦した。李晶玉さんにとっては「この不自由はとても魅力的なモチーフ」と言う。

新作「Mt.Paektu」(120×190㌢、2021)の背景は朝鮮の白頭山のカルデラ湖である天池だ。青く澄んだ空と土が見えることから、初夏を連想させる。

「白頭山は朝鮮民族にとって象徴的な存在。雪景色の白頭山よりも、祖国の土の色が強くイメージにあったために、このように描いた」と李さんは話す。

個展ではアイデアを収めたノートやスケッチも公開された。

作品の中央で佇む人物は李晶玉さん自身だ。スーツを着用し、口を閉じうつむいているが、その輪郭から李さんを想像できる。間近で見て初めて気づくのが、この肖像画が背景の作品を切り取ることで、立体的にコラージュされていることだ。「VOCA展2020」奨励賞の「Olympⅰa2020」(220×360㌢、2019)などの作品でもこの技法が取り入れられている。

李さんは「女性、在日同胞、世代という属性にバイアスがかかり、それらが見たいように見えないくやしさと憤り」が創作の原点にあると語る。「見たいように見えないくやしさと憤り」がこの表現からも垣間見える。

作品の背景で多く見られる青色は、透き通った美しい印象ながらどこかで寂しげな心象も残す。画家が用いる色たちには多くの意味が持たされる。李さんにとって青は自身に中に存在する空虚の現れだという。

李晶玉さんは「日本で在日朝鮮人美術家が評価されるときに、民族教育に対する意識がないように思われる。在日朝鮮人として日本で生きる『不自由』にフォーカスすることが創作への熱量に変わっていった」としながら、在日朝鮮人美術家としての挑戦を続けていきたいと述べた。

尹忠新委員長は「在日同胞の視点が作品に生かされている。大変な時期に個展を開催し素晴らしい作品たちを発表した。これからの活躍にも期待したい」と話した。

新作4点を含む作品たちが展示された。

(鄭尚丘)

李晶玉さん

1991年生まれ。西東京第1初中、東京朝高卒。2018年朝鮮大学校研究総合研究科美術専攻課程修了。

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