〈教育研究集会2021〉生徒たちに学ぶ喜びと楽しさを/経験交換会と分科会

《朝鮮新報》2022.01.31

初級部・国語分科

幅広い教育実践が報告された

今年の初級部国語分科では、教育の質向上に向けて、日頃から研究を重ねてきた教員たちによる幅広い教育実践が報告された。

03年度の教科書改編以降、国語教科書編纂委員会では、国語教育の現状や課題を確認する目的で、過去10年間の教育内容について分析・総括を行ってきた。その過程で、国語教育は「読む」「聞く」「話す」「書く」からなる4つのスキルを効果的にみがく方向へと転換されていったという。

とりわけ2018年度には、初級部高学年を対象とした電子教科書の導入により、各地の国語教育の現場で、4つのスキルのみならず、その土台となる語彙や文法などの知識を体系的・系統的に学ぶ環境が整っていく。また、近年では民族教育におけるICT教育の積極的な導入に伴い、児童・生徒らの能動的学習を促進する条件もそろうなど、この10年間は、国語教育が大きく変化・前進した期間だったことが共有された。

今回、分科会では、27編の論文のうち9編に関する発表があった。

今年度の教育研究集会で論文賞に選出された尼崎初中・金代誠教員は、低学年の教科書改編を見据えた授業づくりに着目。児童の国語力を効果的に高めるための教材研究と実践について考察した。金教員は「教材内容を研究したうえで新たに学習目標を設定し授業を行うと、児童の国語スキルが向上した」と、研究の成果について述べた。

論文発表後には、3人の教員が国語授業における実践経験について報告した。

初級部国語分科の高哲守分科長(北大阪初中)は、意欲的に実践を重ねてきた教員らの努力を高く評価しながら「これからも研究と実践を通して、国語教育の質を向上させるために奮闘していこう」と呼びかけた。(紗)

共通・音楽

ミニコーナーも設けられた。

音楽分科では研究方向を▼2019年度版教科書を用いた教育実践、▼教員陣営強化のための地方別及び中央教育研究集会と音楽教員講習の実施、▼環境と実情に即した音楽教育における目的の達成と定め活動してきた。

2021年度では分科独自に「相談室」を設け、ネットワークを強化し全体のレベルアップを推し進めた。これが奏功し、経験と知識、情報を共有しながら各地の教員が切磋琢磨してきた。夏には教員講習を開きその実効性を確認した。

分科会ではこの間の研究成果の集大成として、6つの論文と4つの実践報告が発表された。ICT機材を利用したアクティブラーニングの研究、民族音楽の研究、創作授業の研究、人材育成に関する研究などが特に注目を集めた。朝大生が作品を分析、紹介するミニコーナーも設けられた。

埼玉初中の崔成学教員は新型コロナウイルスの影響により制限された時間と環境の中での、効果的な学習指導法をテーマにした論文を発表した。これは、コロナ禍での音楽授業における共通の課題とされている。論文では、反転学習を用いた実践研究が紹介され、可能性と展望が示された。

ほかにも、少人数クラスや選択授業といったさまざまな教育現場での研究成果も報告された。

音楽分科では今後も実戦経験を蓄積しながら、研究事業と教員の資質向上を図る。すべては民族教育の新しい全盛期を切り開くためだ。

参加者たちは、生徒たちに学ぶ喜びと楽しさを与えるために教育者としての使命をまっとうしていくことを誓った。(丘)

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