「平壌の人びと」テーマに伊藤孝司さんが写真展/三重、東京など各地で

《朝鮮新報》2021.07.30

朝鮮を長期取材してきたフォトジャーナリスト・伊藤孝司さんの写真展が日本各地で開催される。

1992年から43回訪朝し、日本による植民地支配の被害者たちを精力取材してきた伊藤さんが、今回新たなテーマとして展示するのは「平壌の人びと」だ。「日本社会の朝鮮への眼差しは政府の敵視政策を温床として無理解の範疇を超えて嫌悪にまみれている。朝鮮の人々の自然な姿を通じて、偏見を持っている人が認識を変えるきっかけになれば」と話す。

雨の千里馬通りの女の子と祖父(2011年11月撮影)

写真展には伊藤さんが92年から撮りためた膨大な写真の中から厳選した100枚が展示される。農場や工場で労働に勤しむ人々や生まれたばかりのわが子を抱く母親、祝日を祝う市民たち…。自身が「お気に入り」だと自負する写真はどれも素朴な人々の暮らしをとらえたものだ。平壌以外も咸興や端川、沙里院、開城など朝鮮各地を網羅。日本人妻や残留日本人、日本人の遺骨および墓参などの日朝関係、在日朝鮮人1世に関する写真も数点展示される。

将泉野菜専門協同農場の託児所の運動会で声援を送る農場員たち(2016年6月撮影)

日本人妻・中本愛子さん(中央)と日本からの妹が58年ぶりに再会した(2018年6月撮影)

伊藤さんは「朝鮮は“危険な国”という意識が日本社会に根付いて久しいが、写真展を通じて朝鮮にも人間として喜び苦しみ、笑い泣く、日本と変わらない人間の生活があることを知ってほしい」と願っている。

祝日の牡丹峰で踊る女性たち(2019年10月撮影、写真はすべて伊藤孝司さん提供)

大同江河畔の「ビール祭り」で音楽公演を見る人たち(2016年8月撮影)

※三重での写真展は「フォトジャーナリズム展三重」主催。「平壌の人びと」のほか伊藤さんのライフワークである「原爆棄民」(在朝、在韓被爆者)、「棄てられた皇軍」(韓国・台湾人元日本兵)、「環境破壊大国・日本」(アジア・太平洋地域での日本による環境破壊)の4つのテーマを展示

(淑)

伊藤孝司写真展 ※すべて入場無料

●三重

「わたしたちの知らないアジア」8月5日(木)~8日(日)10~17時/津リージョンプラザ 3階展示室(三重県津市西丸之内23-1、059-229-3300)

関連イベント:7日(土)13時30分 伊藤孝司トークライブ/5、6、8日13時30分 伊藤による作品説明

主催:フォトジャーナリズム展三重(080-5100-5448)

●東京

「平壌の人びと」8月24日(火)~9月5日(日)11時~18時45分(28、29日は16時45分まで)/Gallery TEN (東京都台東区谷中2-4-2、地下鉄千代田線根津駅徒歩7分、03-3821-1490)

関連イベント:

28日18時 伊藤孝司講演/「一度でいいから」(朝日放送テレビ制作)上映/日本人妻の日本の家族によるトークショー

29日18時 対論:孫崎亮 (元外務省情報調査局長) vs 小西隆裕 (平壌「日本人村」から音声参加)

「不忍通りふれあい館」(東京都文京区春日1-16-21、地下鉄千代田線根津駅徒歩 3分、03-3822-0040)

主催:伊藤孝司写真展「平壌の人びと」実行委員会(03-3591-1301山中)

●愛知

「平壌の人びと」11月26日(金)~27日(土)10時~19時、28日9時~18時/名古屋国際センター展示室(名古屋市中村区那古野1-47-1、地下鉄桜通線「国際センター」駅直結、052-581-5679)

主催:日朝芸術文化交流協会

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