技術磨きいっそう品質向上/新設工場の取り組み

2021.03.22

朝鮮各地の経済単位では、朝鮮労働党第8回大会で示された新たな国家経済発展5カ年計画の課題遂行に本格的に着手している。中には最近、新設あるいは改築され、最新の生産設備を生かして生産に取り組む生産施設もある。平壌民族楽器工場、平壌電子医療器具工場の取り組みを紹介する。

楽器固有の音色を/平壌民族楽器工場

昨年12月に新たに操業した平壌民族楽器工場(楽浪区域)は、総合的な民族楽器生産施設だ。民族楽器を制作する工場は国内に数十とあるが、弦楽器と木管楽器、打楽器にいたるすべての民族楽器を総合的に制作する工場は、平壌民族楽器工場が初めて。金正日総書記が2011年8月、総合的な民族楽器の生産拠点を設立するべきとした教えによって建設された。

弦楽器のヘグムを制作する職人たち

同工場では、現代的に改良された民族楽器をメインで制作し、古典楽器に関しても受注制作する。朝鮮では1960代末、金正日総書記の指導の下で、洋楽器との融合・編成の実現をめざして民族楽器を現代的に改良した。

工場では現在、チャンセナプ、テピリ、チョッテ、タンソなどの9種の木管楽器、大小のプク、チャンゴなどの打楽器、カヤグム、オウングム、オクリュグム、ヘグムなどの弦楽器を制作している。これら楽器は国内で制作したCNC設備によって精密加工が施されている。

平壌民族楽器工場の生産設備

操業後、最も力を入れているのが楽器の制作技術の向上だ。特徴的な取り組みとして、技術学習を週に2度、オンラインで行っている。

一つが楽器制作において基礎となる民族音楽に関する知識涵養を目的としたもので、講師として支配人と、楽器の出来栄えをチェックする「検査員」が出演する。「検査員」とは専門芸術団体で活躍した演奏家たちだ。

木管楽器担当のチン・ヒャンさん(40)は、「技工だけでは良い楽器はつくれない。民族楽器に対する深い知識と同時に、豊かな音楽的感受性、音楽芸術に関する知識が伴わなければならない」と話す。従業員の多くは学生時代に音楽クラブに所属したり職場で音楽サークルに参加した人で、音楽に造詣が深いため講師との意思疎通もスムーズだという。

もう一つがベテラン職人による技術指導だ。楽器ごとの構造的特性や制作方法を指導する。工場を新設するにあたり、他の楽器工場に長く勤めた老練の職人を部門別に配置した。技術指導は、楽器固有の音色を正確に引き出すことに重点が置かれている。

また、工場では専門芸術団体や学校の音楽クラブ、芸術活動が活発な工場や企業所、農場に直接出向き、楽器に対する演奏家たちの意見聴取にも努めている。

パク・イル支配人は「最高の民族楽器をつくることでわが国の音楽の発展に寄与し、朝鮮民族の音楽的才能を世界に知らしめたい」と意気込む。日本にも民族器楽のクラブ活動に励む生徒たちやプロやアマチュアの演奏家がいることを踏まえ、「在日同胞たちと民族楽器を通じて親交を深められたら」と話した。

設備の90%が国産/平壌電子医療器具工場

1月にリニューアルが竣工した平壌電子医療器具工場には、高純度蒸留水器、電子胃内視鏡、デジタルレントゲン診断装置、磁気共鳴画像診断装置(MRI)など、電気・電子医療器具の生産と組み立てを専門的に行える設備が完備されている。

リニューアルされた平壌電子医療器具工場の生産工程

近年、医療保健部門においては課題である物質技術的土台の構築で一定の成果があがっている。昨年3月には平壌総合病院が着工したほか、10月には三池淵市人民病院が開院し、妙香山医療器具工場のリニューアル工事が完了した。

平壌電子医療器具工場のリニューアルも医療保健部門の課題に応じて進められたものだ。

1969年8月に設立された同工場はこれまで、蒸気圧消毒器、X線診断装置、腹部超音波診断装置などをはじめとする電子医療器器具を生産してきた。

全面リニューアルに伴って、電気・電子医療器具の生産および組み立ての設備だけでなく、医療器具の品質向上のための測定や分析、実験、検査設備も開発・生産した。

同工場のクォン・ヨンイルさん(56)によれば、新たに設置した設備の90%は国内で開発・制作したものだという。

現在、工場では生産者たちの技術技能レベルの向上、電子医療器具の種類のさらなる拡大に努めている。クォンさんは「党第8回大会で示された課題を掲げて、電子医療器具をもっと量産することで社会主義保健の発展に寄与したい」と語った。

【平壌支局】

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