関東大震災100年を迎え/留学同京都総合文化公演2023「叫びの上に」

“過去の痛み、今の痛みと受け止めて”/留学同京都総合文化公演

《朝鮮新報》20232023.03.07

関東大震災100年を迎え

留学同京都総合文化公演2023「叫びの上に」

留学同京都総合文化公演2023「叫びの上に」が2月19日、京都市国際交流会館で行われ、約200人が観覧した。

今年、関東大震災朝鮮人虐殺事件から100年を迎えるが、今もなお真相究明と公的な賠償と真相糾明がなされていない。また京都第1初級襲撃事件や京都ウトロ地区への放火事件など朝鮮民族に対するヘイトクライム、ヘイトスピーチは現在も止まることを知らない。

文化公演は、「歴史を直視し、二度と同じような過ちを繰り返さないための立場を問わない真の連帯の礎を築くきっかけとなれば」と思いから企画された。

サムルノリなどの演目が上がった

舞台には、演劇とサムルノリなどの演目が上がったほか、最後は学生代表が決意文を朗読した。

演劇「叫びの上に」の舞台設定は、関東大震災が起こった1923年。

三・一運動から4年が経ち、日本の植民地統治は武断政治から文化政治へと切り替わるが、朝鮮人に対する支配と弾圧は止むことはなかった。在日朝鮮人労働者である金岩守は東京で自分と同じ在日朝鮮人労働者の李舜雅と、在日朝鮮留学生の朴民奎らと出会う。「朝鮮人として生きる」ことに希望を見いだせなかった岩守は同胞との出会いで少しずつ本当の自分を取り戻す。しかしそんな岩守達を天災と人災の2つの災いが襲う。この「災い」は命を、生活を、そして民族を引き裂いていく――。

学生たちの渾身の演技に、客席からは拍手喝采が起こった。

文化公演を観覧した留学同京都卒業生の南智仁さん(24)は「歴史について取り扱うのは難しいと思うが、まとまりも良く素晴らしい公演だった。時代劇という難易度の高い劇にもかかわらず演者たちのクオリティもすごく高く驚いた」と感想を寄せた。

文化公演は、出演した学生たち自身にも貴重な気づきと経験をもたらした。

演劇で主人公・岩守役を演じた林海瑠さん(1年)は「震災から100年経って、この歴史が世界で忘れられようとしている、消されようとしている事実を知ってもらいたい。そして震災だけでなく他の歴史についても興味を持ってもらい。文化公演を、何が正しいか考えるきっかけにしたい」と話した。

演劇「叫びの上に」

また舜雅役を担った朴姫奈さん(2年)は「劇中の台詞にあったように、日本社会で在日朝鮮人として生きて活動していくには困難なことがたくさんあると思う。でも自分は同胞社会の何とも言えない温もりが大好きだし、自分の心のよりどころだと感じる。だから同胞社会を変わらず守っていきたい」としながら、「過去の痛みを今の痛みと受け止めて、一世らの精神を引き継ぎ、次は私たちが同胞社会を守り闘っていくという決心を舞台に込めた。私たちの姿を通じて、観客たちとも共に声を上げる仲間となれれば」と力を込めた。

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